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「工房」っていうのはちょっと違うんじゃないか

最終更新: 9月19日




 日本ではサインのある絨毯を「○○工房」という風に呼びます。有名なところでは、イスファハンのセイラフィアン工房や、クムのラジャビアン工房など、見聞きされたことのある方も多いかと存じます。


 以降、イスファハンについての話になりますが、実はこの「○○工房」という日本語からイメージする「工房」はほぼ皆無です。ではどこで絨毯をつくっているのかというと、実は絨毯を織る個人の家の作業場でつくられています。この「作業場」に該当する語、ペルシア語の「カールガーハ」を「工房」と訳したのだと思いますが、あくまでも個人宅の空いている部屋やリビングの片隅に織機を置いた作業場であって、日本語の意味するところの工房である「親方と雇われた数人の職人が働いている小さな工場」ではないのです。イスファハンでは、こういった絨毯を織る家の多くは、市の北部、シャーヒーンシャハルという地区に集まっています。

 クムのシルク絨毯の「工房」も現地で調べたわけではないですが、恐らく同様だと思います。


 じゃあ絨毯の端にペルシア語でつづられたあのサインは一体何なのよ、という話になりますが、サインはその絨毯をデザインしたデザイナーの銘だと考えるとよいでしょう。織った「工房」の名前ではありません。

 絨毯がつくられる際の流れは、絨毯デザイナーが作成した図面を個人の織り手に渡し、またデザイナーが定めた品質のウールやシルク等の素材を売ります。そして出来上がった絨毯をまたデザイナーが買い戻す、というパターンになります。もちろん、それぞれのデザイナーはその要望をかなえるだけの技術を持った織り手と契約し、指導することで品質を担保します。

 絨毯商自身がデザイナーを兼ねて(もしくは雇って)絨毯を作らせる場合もよくあり、ギャッベで有名なゾランヴァリもこのパターンです。そのデザインと品質が卓越しているものがブランドとしての地位を築くわけです。

 間違っても、セイラフィアンの絨毯はセイラフィアン氏がパイルを結んで作ったもの、ではないので注意してください。いわば総合製作指揮をしたのが、セイラフィアンということです。


セイラフィアンの12平米の絨毯

 イスファハンにはありませんが、私たちがイメージする「工房」形式で絨毯をつくっているところはイラン各地にございます。ただ、このタイプの織り手を雇って絨毯をつくる工場ですと、品質管理された一定の絨毯を大量生産したり、特別に大きなサイズの絨毯の作成が可能になりますが、一方で働かせた分の人件費が出来高に応じて確実にかかってくるため、絨毯の価格も高くなりがちです。一方、個人宅と契約する形式では厳密な労働時間あたりの計算はしないでしょうから、その時々の家計の状況で絨毯の価格にはある程度融通がきくものと思われます。


織り手を雇うタイプのいわゆる工房(ビージャール)

 このようなわけで、イスファハンには有名どころから聞いたことの無いところまで、有象無象のデザイナーのサインが入った絨毯が数多くあります。やはり有名デザイナーの絨毯は糸の品質が高くものが良いことが多いですが、上記の通り、結局はいずれの絨毯も名も無い織り手がそれぞれの家庭で織ったものですので、ブランドにこだわりすぎること無く、絨毯それぞれの個性を楽しんだほうが気楽かと思います。

 なお、そのサインの真贋も気になる部分かと存じますが、イスファハンにおいては、偽サインがあるのはセイラフィアン位です。それも一目見てわかるレベルなので、本物と偽って売るのは困難でしょう。サインの部分も含めてのデザインコピー、といった程度です。


※上記の通り「工房」というのは少し実情と異なりますので、当サイトの商品説明では今後「工房」という文言を使わないようにいたします。


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