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イランで絨毯を買うには

最終更新: 9月19日

 


「イランに旅行したら、本場で絨毯を買ってみたい。」とイランに観光旅行に行こうと思っている人であれば、誰しもが思うことでしょう。中東のバーザールでの買い物は、旅行好きの人々にとって、本当にわくわくするものです。

 しかしながらそのHow to をネットで探しても、ほとんど見つからないか、もしくは絨毯屋の書いた否定的な記事ばかりです。確かに全く手織り絨毯を見た経験が無い方なら難しいですが、このブログを読んでくださるような絨毯好きな方であれば、決して無理なことではないと思います。本記事では、一旅行者がいかにしてイランで絨毯を選び、決済し、持ってくるか、実際の経験を踏まえて書きたいと思います。


1.イランから個人で絨毯を持ち帰ることができるのか

 イラン税関によると、手織り絨毯は20平米まで無許可で持ち出しが可能です。枚数には制限はありません。歴史的価値のある特別な絨毯は不可。イラク・サウジ・シリアへの持ち出しは不可。とのことです。

 この20平米という量は、飛行機の手荷物で運べるサイズと重量を大幅に超えていますので全く問題はありません。例えば、ウールの薄い絨毯であれば平米あたり3kgが目安です。ただし、重いヴィレッジラグやギャッベなどはその倍以上にもなります。

 80リットル位のスーツケースに畳んで入るサイズは、その他の旅の荷物が半分を占めるとすると、薄いものであっても3~3.5平米が限界でしょう。これらをスーツーケースに詰めると、だいたい25kg位になります。エコノミークラスでもぎりぎり文句を言われずに預けてもらえると思います。

 歴史的価値のあるような博物館の展示品のような絨毯は、一旅行者には売ってもらえないので問題ないです。そもそも絨毯屋から「博物館級だよ」なんて言われたら、眉唾です。イラク・サウジ・シリアも、普通の日本人は行くことはないでしょう。


 なお、外国人が国際郵便でイランから絨毯を送ることは法律でできません。ですので大きい絨毯であれば航空貨物で別送するしかありませんが、初めての店にお金を預けて、連絡を取るのも難しく、いつ来るかわからない荷物を帰国してから待つのは、現実的ではないでしょう。自身でハンドキャリーできる範囲で選ぶべきです。それならば輸送費はかかりませんし、日本の税関での申告額が20万円相当までなら、関税も輸入時消費税もありません。さらにイランからの絨毯の輸出に際しても税金がかかるのですが、これも無税です。こういうわけで、旅行者のほうが正規に絨毯を輸入している業者よりも有利なのです。観光客価格で多少高く買わされたとしても、損することはないでしょう。


2.イランへは現金を持っていくしかない

 国際的な金融制裁を受けているイランでは、クレジットカードが使えません。これは旅行者にとって非常に不便で、まるで何十年も前の海外旅行のようです。国際送金も非常に難しいので、万一帰りの飛行機に乗り遅れでもしたら、代わりのチケットを買う現金が残っていない限り、即大使館に連絡しなくてはいけない案件になってしまいます。

 というわけでイランに持ち込む現金ですが、普通にアメリカドルかユーロでOKです。よっぽど田舎の絨毯屋でなければ、外貨での支払いで問題ありません。なお一般的な最も大きいイランリヤル紙幣で500円札(まれに1,000円札くらいの価値の紙幣もあります)程度なので、両替してしまうとすごくかさばります。

 手織り絨毯を買うとなると、それなりの高額を持ち歩くことになりますので、十二分に注意してください。


3.どこで買うべきか

 玄関口のテヘランか、観光旅行ならほぼ確実に訪れるであろうイスファハンとシーラーズが候補になると思います。テヘランではすべての地域の絨毯が揃っていますが、価格は高め。イスファハンやシーラーズであれば、やはりその地域の絨毯を選ぶのが選択肢も多く、価格もこなれているので良いでしょう。なお、産地の小さな地方都市では、仕上げしてなかったり未洗浄だったりするので、買ってそのまま持ち帰ることができません。


 おすすめしないのは、プロ向けの絨毯屋からは「ツーリスト売り」と呼ばれている外国人旅行者向けの絨毯屋です。イスファハンに多いです。入りやすい感じの外観で、内装は少し高級な感じ。絨毯が暖色系の明かりでライトアップされてきれいに展示されているような店は欧州並みの値段だと思ったほうがよいでしょう。そして頼みもしないのに、英語でぺらぺらしゃべりながら絨毯を広げだす。こういうお店は言葉も通じて、お茶も出してくれて、一見親切で安心して買い物ができそうですが、価格と品質のバランスが良くありません。一見の客に、買ってもいないうちから「まずはお茶でも」といって出してくることは、プロ向けの絨毯屋では普通無いことですし、言ったとしても「タアッロフ(建前)」なので断るのが礼儀です。


イスファハン 絨毯屋の並ぶパサージュ

 ちゃんとした絨毯屋はこういったパサージュに集まっています。店の前を通っても、滅多に声はかけられません。入りづらいですが、その代わりちゃんとした商売をしている店がほとんどです。

 ごく簡単な英語しか通じないことが多いですが、海外旅行が好きな方ならコミュニケーションは筆談とジェスチャーでなんとかできるはずです。


 テヘランであれば、パーンズダヘ・ホルダード駅側、ゴレスターン宮殿側の大バーザールから入ったあたりはやめた方が良いです。何よりこの付近は人込みがすごいのでスリが怖いです。また、バーザールに入って少し歩いていると十中八九、怪しい英語で絨毯はどうかと声をかけられます。彼らは雇われた店の呼び込みです。ついていっても危険なわけではないですが、価格に見合った価値のある絨毯は売っていない絨毯屋です。

 赤のラインの地下鉄1番線、パーンズダヘ・ホルダード駅の隣、ハイヤーム駅から出てすぐ右隣の建物と、その建物から奥に進んでいったエリアには、まともな絨毯屋が集まっていておすすめです。数多くの絨毯屋が並んでいますが、店先をうろうろしていても、じろっと見られるだけで声を掛けられることはないでしょう。

 取り扱っている絨毯は大体産地ごとに分かれていて、それぞれの店で得意分野は違います。吊るしている絨毯を見て判断しましょう。自分から飛び込んだ店でだまされることは、まずないはずです。


テヘランの絨毯バーザール

 テヘランで絨毯を選ぶ際の問題は、バーザールの巨大さです。迷路のように入り組んでいて、さらに同じようなパサージュがいくつもあるので、いとも簡単に迷ってしまうことでししょう。一度店を出てから他の店の絨毯を見て、やっぱりさっきのがいいな、となっても、また同じ所に戻るのが難しいレベルです。パサージュ内は一応ちゃんと管理されているのでスリは少ないですが、現金を持ってあちこちと彷徨うのはとても気疲れしてしまうでしょう。


 次にイスファハンです。イランに観光に来たのであれば必ず行くであろうエマーム広場周辺には、観光客向けの絨毯屋しかありません。一部に良心的なお店もありますが、基本的には避けたほうがよいでしょう。特にエマームモスクの入口に立っていると、高確率で呼び込みに日本語で話しかけられます。絨毯屋のバイトですので遠慮なく拒否してください。

 絨毯屋が集まっているのは、エマーム広場の北西のハキーム通りと、ハキーム通りからハキームモスクのほうに入った小路に囲まれたエリアですので、こちらで探しましょう。

 店によって、イスファハンやナイン、バフティヤーリーやヤラメなど得意分野があります。店先を見て判断しましょう。数少ないですが、クムの専門店など他の産地の絨毯もみつかります。


 シーラーズの絨毯バーザールはずっと小ぶりになりますが、旅行者にとってはかえって選びやすいと思います。場所も歴史あるヴァキールバーザール内なので、雰囲気も抜群です。


シーラーズのヴァキールバーザール 一本の通りに集まっているので探しやすい 

 カシュガイだけでなく、各地の絨毯も見つけることができます。もちろん個人客向けの絨毯屋ではありますが、外国人向けではありません。産地に特にこだわりがなく、旅行の記念やお土産としての購入であれば、一番のおすすめです。


4.絨毯をどう選ぶか

 もっとも重要なことは、サイズを決めてから探すことです。90×60、120×80、150×100、200×130~220×150、300×200と、絨毯屋ではサイズごとに重ねて山にして積んでいます。価格はサイズが同じでもそれぞれ違いますので、予算だけ決めて探すのは、あっちもこっちも絨毯の山を別々に開いていくことになり、混乱してしまうことでしょう。



絨毯屋の倉庫内 基本的にはサイズごとに分けて積まれる

 絨毯屋では次々に絨毯がめくられていくわけですが、ちょっとでも気になる絨毯であれば、その旨を伝えて横によせてもらいましょう。もちろん買う買わないは別ですので遠慮は無用です。絨毯を大量に見ていると、だんだんわけが分からなくなってきます。第一印象が良かったものは、後でしっかりと見比べましょう。それぞれを比較してみることで、自分の好みや絨毯の良しあしが分かってくるものです。

 壁に吊っている絨毯も、気になったら降ろしてもらいましょう。吊られて照明を当てられた絨毯はとても綺麗に見えますので、先入観を持たないようにしましょう。あとからじっくり単品で見たとき、残念ながら第一印象の良さ程でもなかったりします。


この山をめくっていきます

 以前テレビの番組で、イランに仕入れに来た絨毯屋が、次々にめくられる絨毯から、一目見て何枚も仕入れを決めていくシーンがありました。実際にその場だけで決めているのか、テレビの制作会社の編集でそうしたのかわかりませんが、少なくとも私は一目で決めることはできません。

 おそらく皆様が想像されている以上に、現地の絨毯は出来不出来が激しいです。日本に持ってきてからだと修繕費用がとても高額になってしまうので、時間を掛けてしっかりとチェックしましょう。


 さてまずは、店の従業員が絨毯をめくっていく際、それを腕を組んで見ているよりは、近くに立って一緒に一枚一枚タッチして触り心地を感じてみましょう。それだけでも良し悪しが判別できるときがあります。

 一旦選んだ絨毯は完全に広げて、周りをぐるりと回って前後から見ます。絨毯は向きによって印象がかわりますので。そして汚れがついていないかどうか、色やデザイン、フリンジの状態もよくチェックしましょう。基本的にペルシャ絨毯は左右対称なデザインなのですが、まれにミスがあることもあります。


 形状も大事です。前後左右とそれぞれの中央をメジャーを借りて測ってみましょう。ぱっと見の印象よりも、意外と差があるものです。センターのメダリオンがズレていないかもこの時にチェックします。手織りですので多少の歪みは必ずあるものですが、大きく上下と左右それぞれの長さが異なるものは避けたほうがよいでしょう。歪みはある程度修正できるのですが、日数がかかるので旅行者は待つことはできません。

 次にひっくり返して、裏面を見ます。しゃがんで全体を手で触りながら、へこんでいたり、違和感を感じる所はないかどうか見ていきましょう。また、候補の絨毯のそれぞれの裏面を見比べてみてください。織りの良し悪しは裏面でわかります。

 

 お店にはたまに洗浄前の絨毯が置いてあることがあります。状態が良いと気づかないかもしれません。通常、仕上げ洗浄が済んだ絨毯には、チャルムとよばれる合皮のベルトが裏面に縫い付けられていますので、この有無で判別できます。ちなみにこれは滑り止めではなく、敷いたときに端がめくれずにピシッと敷けるように取り付けられています。チャルムには価値は無いので、ちょっと切れていたり途中で継いでいたりしても問題ありません。


 先にも書きましたが、あくまでも手織りの絨毯ですので完全なものは無いと思ったほうがよいでしょう。特にデザイン画の無いヴィレッジラグやトライバルラグでは、多少の欠点もその絨毯の個性になります。結局のところは「気に入ったら買い」なのです。


 一軒の店だけで決める必要はありません。スマホで写真を一枚とらせてもらって、価格をきいたら、別の店も見てみましょう。ですがバーザールには無数の絨毯があります。旅行者の買い物であれば、せいぜい4~5軒も周れば限界かと思います。絨毯との出会いは一期一会です。その時に見つけた絨毯がその時のベストチョイスだと信じましょう。


 長文になってしまいましたが、イランで良いお買い物ができることを祈ります。

 

 もちろんイランに行きたくても行けない方には、年に1~2度だけですが、タイミングが合えば代わりに探して参ります。現地からSNSで画像などをやりとりしてお決めいただけます。ご興味のある方は当店までお問い合わせください。



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ペルシャ絨毯オンラインショップ ラグラング

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