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ケルマーン州ラーヴァル



 ケルマンラバーというと聞き覚えのある方も多いと思います。ですが「ラバー」は明らかに誤記で、ペルシア語の表記では راور そのまま英語で表記するとrav(a)rです。日本語で表記するとラーヴァルがもっとも近い発音になります。

 実はRavarの名は本来Lavarでした。西洋人によって間違えて読まれたものがそのまま現地でも定着してしまったようです。


 ケルマーン市から北に車で1時間半程度走ると、頼りなく地表にへばりついている緑地が遠くに見えてきます。そこがラーヴァルの街です。近づくとその緑は大半がピスタチオの畑であることがわかります。さらにラーヴァルから北に進むと、州境を超え、南ホラーサーン州ナイバンド村まで120km以上の区間に渡り村・集落が無い、無人の砂漠地帯が広がっています。

 ラーヴァルの街並みにはこれといった特徴が無く、ひなびてはいますが「村」ではありません。一応この地域の中心になっている街です。ですがこの小さな街のペルシャ絨毯は昔から有名で、テヘランの絨毯博物館には西洋の中世風の人物像の描かれた絨毯(90ラッジ!)と、糸杉と鳥の文様のメヘラーブ絨毯が展示されています(いずれも20世紀前半の作)。


 ルート砂漠に隣接するラーヴァルは昔からケルマーンの絨毯づくりの中心でした。19世紀の戦乱によってケルマーン市が大きな犠牲を強いられた際、住民たちがラーヴァルへ避難してきました。その中には絨毯を織る技術をもった人々も多く、ケルマーンの絨毯の優れた特性がこの地へ伝わり、以来ラーヴァルの絨毯は高い名声を得るようになったそうです。

 現在では博物館に飾られているようなデザインで織りの細かい絨毯は作られておらず、「ラバー」はすっかり過去の産地扱いをされているようです。しかし「ラーヴァル」のメインストリートから一本入った小路に並ぶ土レンガ造りの家々の中では今もなお、リーズナブルな価格のペルシャ絨毯が織り続けられています。


 ラーヴァルの街に一軒だけある絨毯屋。もちろんですがラーヴァルの絨毯のみ扱っています。仕上げ済みのものはほとんどなく、洗いと表面の刈り込みが必要です。ウール糸も売っています。糸を織り手に売り、出来上がった絨毯を買い取る。仕入れた絨毯はケルマーンやテヘランの絨毯商に送られます。

 小さいサイズから大きいサイズまでありますが、どちらかというと6~12平米の大きいサイズが多く作られています。デザインはヘザールゴル(千の花)と呼ばれる花柄で、メダリオンコーナーのものがほとんどです。フィールドカラーは暗色(濃紺)とオフホワイトの2パターンです。



 絨毯をつくっているロウハーニーさんのお宅を訪問しました。12㎡サイズを織っている最中です。ラーヴァルでは垂直式の織機が使われます。写真ではお母さんとお嫁さんが織っていますが、男性も作ります。結びはカギ針を使わないペルシャ結び(非対称結び)で、結びの細かさは平米あたり16万~49万ノット程の製品がほとんどです。


 ロウハーニーさんのお宅でお茶を一服ごちそうになっていると、この家のお嫁さんから、赤ちゃんを抱いてやって欲しいと頼まれました。部屋の隅ですやすやと寝ていた女の子の赤ちゃん。新生児を抱っこするのは久しぶりなので緊張しました。こうして来客から赤子の健康な成長を願ってもらう習慣があるのでしょう。

 この子も絨毯づくりの音を聴きながら大きくなり、そして7~8歳にもなると少しずつパイルを結びはじめることでしょう。心からこの子が健やかに育つことを祈りました。



 こちらの写真は、ラーヴァルから西に20kmほどの距離にあるタラズの村。この付近で絨毯づくりの盛んな村を調べた上で行ったのですが、現在では絨毯を織る家はかなり少なくなってしまったそう。時間と手間を考えると間に合わなくてやめてしまう家が多いとのこと。写真は12枚綴りのポシュティーですが作るのにほぼ1年かかります。

 田舎の絨毯づくりは家計のなかでも重要な位置を占めますが、あくまでも農業や牧畜業との兼業です。それゆえ価格も低い価格で流通しています。さらに都市部と農村部の経済格差が大きい国なので、収入の低い地域の絨毯は相対的に相場も安くなります。というよりむしろ収入の低い地域でないと絨毯を作らなくなっているのかもしれません。このことについては後日またブログで書きたいと思っています。


 この時いただいた自家製の新鮮な山羊乳のドゥーグ(ミントの効いた塩気のあるヨーグルト飲料)。とてもナチュラルな味!しかしながら山羊の風味は苦手でして、無理やり全部飲み干します。そして、ひきつった笑顔で「ホシュマゼ ブード(おいしかった)」。

 もう一杯飲んでいけというのを固辞して、この村を後にしました。

 ラーヴァルの街から絨毯を6㎡を1枚、小さなサイズを何枚か仕入れております。日本に到着するのは11月後半の予定です。ご期待ください。

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