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  • 執筆者の写真rugsrang

ビールジャンド



ビールジャンド

 ビールジャンド市は南ホラーサーン州の州都で、人口18万ほどの都市です。マシュハドから南へ、バスで7~8時間の距離にあります。南ホラーサーン州はイランの州の中で最も人口が少ないですので、その州都もこじんまりとしています。しかし日本と違い地方であっても、街には人があふれ活気があります。イランには大規模な資本の会社が少なく、街には個人の商店が並んでいるせいでしょうか。

 マシュハドからバスに揺られてこの街に初めて来たときは、まったくノープランでした。以前ブログに書いたフールグにだけは行きたいと思っていたので、ホテルに着いたらツアー会社を紹介してもらおうと考えていました。しかし着いた安ホテルにはそのツテが無く、しかたがないのでネットで見つけた所に飛び込みで行ってみることにしました。

 行ってみたのはアジアパルヴァーズという旅行代理店です。眼力の強い30代の若い社長、カーシャーニー氏と面会しました。

 私が簡単な自己紹介をしてツアーの希望を告げるとカーシャーニー氏は言いました。

 「なるほど。あなたは私の客人だ。この街では安心してくれてよい。」「それにここは安全だ。この街には悪人はいない。」

 その時代がかったセリフと彼の大物感には驚きました。まるで中世の太守と話しているような気分した。

 後で知ったのですが、カーシャーニー氏の父親は大きなバス会社を経営していて、ビールジャンドの名士だそう。彼が紹介してくれたドライバーとビールジャンド市内のサフラン屋やお菓子屋などを巡ったとき、私を店主に紹介する際にはいつも「この人はカーシャーニーさんの客人だよ」と言っていたのが記憶に残っています。

 そしてその後幾度もそのドライバー、マジド氏と南ホラーサーン中を走ることになったのでした。

 ビールジャンドには本当に悪人がいないというわけではないでしょうが、ホテルのフロントでも「この街には泥棒は居ないよ」なんて言われたので、治安はかなり良いのでしょう。実際街中を散策していてもそれは感じます。


アクバリーエ庭園 ビールジャンド イラン

 ビールジャンドの見どころは多くはありませんが、ペルシャ式庭園として世界遺産に登録されたうちのひとつ、アクバリーエ庭園があります。写真の正面の建物は、今は博物館になっています。

 濃い緑を見慣れた日本人の目からすると、正直たいしたことのない庭なのですが、実はこの地域にこのような背の高い木はほとんど生えていません。この庭園ではカナート(地下水路)から引いてきた水で、植木や果樹園を育てています。

 下の写真とトップの写真はビールジャンド城です。街の北側の丘に建つ、この城自体の歴史は古いそうですが、今日見ることのできる城壁は新しく作り直したものです。


ビールジャンド城


ビールジャンド城の小さな門番

 暑い中、丘を登って城門をくぐると、子供たちが遊んでいました。私を見つけると入場料をよこせと言います。

 「それほんとうか?お前たちが自分で勝手に金とってるんじゃないの?」と問い詰めると、看板のところに行って入場料を指をさします。どうやら本当にこの子たちは小さな門番だったようです。


ズールーハーネ ビールジャンド

  上の写真の建物はズールーハーネという、イラン式体操・体術を練習する場所。

散歩中なにやら音がするので覗いてみると、入って見て行けというのでありがたくお邪魔します。


ズールーハーネ

 子供たちがお兄さんの指導の下練習中。木でできた太いバットのようなものは、両手で振り回して筋トレに使います。持つとすごく重い。慣れないと手首を痛めてしまいそうです。

 建物には小さな博物館が併設されていて、ひとりの青年が丁寧に案内をしてくれました。


 露店が並ぶ広場。暑い季節だったのでスイカの内部はお湯になっていそうです。


仕立て屋のおじいさんと息子さん


ビールジャンドの住宅街ののんびりとした風景

 ビールジャンドは他のイランの都市と比べて見どころは多くはないですが、街の人々はみな親切。珍しい外人だからといって不躾にじろじろ見られることもなく、快適な旅ができます。州内には魅力的な村々が多く点在しており、また砂漠ツアーなどもできます。イラン旅行でちょっと変わった場所に行ってみたいのであれば、ビールジャンドもまた、素敵な体験ができる場所だと思います。

 ビールジャンドでは絨毯産業もそれなりに盛んです。この街中でつくられるものは少ないと思いますが、州内の他の街や村で織られたペルシャ絨毯(ムード産として流通しています)が多く集まっています。ペルシャ絨毯屋だけではなく、仕上げたり手直ししたり、はたまた絨毯用の糸を売ったりするお店が何軒か並んでいます。


ビールジャンドの絨毯屋

ビールジャンドの絨毯商たち。午前中と夕方が営業時間。午後は閉まっています。


ビールジャンドの絨毯屋

 絨毯屋のホセイニー爺さん。店というより倉庫のような地下にある店舗。


ビールジャンド 絨毯の手直し職人

大きな絨毯の歪みを修正する職人さん


絨毯の耳を作っている職人

こちらは絨毯の耳をつくる職人さん

 新品の仕上げは仕上げの店、絨毯の直しは直しの店、耳づくりの店は耳づくりの店と分かれているところが面白いです。

 南ホラーサーン州の収入や物価が低いせいか、この地域のペルシャ絨毯はその品質の割りに安価です。高価ではなく気兼ねなく敷いて使え、しかし作りはしっかりとしている。実用品としては最高のペルシャ絨毯だと思います。

 当オンラインショップでビールジャンドのペルシャ絨毯を販売中です。是非ご覧ください。


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