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執筆者の写真rugsrang

アルゲ・バム



 世界遺産のアルゲ・バムへ観光に行きました。

 バム市はケルマーン州の州都ケルマーンから南東180kmに位置します。個人で行く場合は、ケルマーン市のバム・ジーロフト方面の乗り合いタクシーターミナルから相乗りで行く方法があります。1,000円しない位でした。

 バムでは10年ほど前に日本の大学生が誘拐された事件があって、当時は治安が良くなかった所です。現在では外務省の危険情報レベルが3から2に下がり、ケルマーン州の観光局も日本大使館に日本人観光客の誘致をしている状況となったので、まぁ大丈夫だろうという判断で行ってきました。

 幹線道路には警察の検問所もあります。この幹線道路で襲われた別の事件もあったので最初は結構びびっていましたが、結局うとうと居眠りしながら2時間半の道中を終えバムのターミナルへと着きました。

 運転手に「アルグ(城塞)に行ってくれ」と追加料金でそのまま城跡へと乗せて行ってもらいます。しかし間違って「アルゲ・ジャディード」という街はずれの車の工場のある地区へ連れていかれかけました。「日本人だから自動車関係者だと思った」だそうで。観光客に見えないんですかね・・・。この通り紛らわしい地名が近隣にあるので、行き先を伝える際には「アルゲ・バム」‌‌‌「ミーラーセ・ジャハーニー(世界遺産)」とはっきり伝えたほうが良いです。


 ようやっとユネスコ世界遺産「バムとその文化的景観」に到着。入口でチケットを買って外壁の城門をくぐり中にはいります。

 「すげぇ~!」と私は滅多に言わないたちなのですが、つい口からその言葉を叫んでしまうほど素晴らしい景観。こんなにも広いとは思いませんでした。それに内城の要塞のなんと格好良いこと。かえすがえすも、渡航2日目でデジタル一眼を落として壊してしまったことが悔やまれます。スマホのカメラしかないのが残念でなりません。新しく買ったツァイスの広角ズームレンズ・・・ここで使わないでどこで使うんだ、という感じです。

 幸運なことに他の観光客がほとんどいません。世界遺産がほぼ貸し切り状態でした。登っちゃダメという看板をあとで見つけるまで、建物の上に登って景色を存分に楽しみました。


 ちょっと残念だったのが内城に入っても上まで登れない所。途中の広場までしか今は入れません。やっぱりお城に行ったら塔に登っててっぺんから見渡したいですよね。

 ここでポルトガル人の団体客と行き会いました。写真を撮ってあげて「新婚旅行でポルトガルに行ったよ。美しい国だった」と伝えるととても喜んでいました。が、悲しいことに私はもともと英語が得意でないので、会話を盛り上げようにもとっさに言葉が出てきません。現地ツアーガイドにペルシア語で話して通訳してもらうってのもちょっと恥ずかしいので退散。ペルシア語の単純な文章を話す事は日本人にとってはとても簡単なので、ついついペルシア語のほうが口をついて出てしまいます。


干しレンガづくり

 さて、ここバムは2003年に大地震に襲われ、建物の倒壊によって26,000人の死者がでた街です。遺跡のほうも地震によって壊滅的な被害をこうむりました。15年近くたった今でも修復作業が少しずつ続けられています。上は干しレンガを作っている場所の写真です。写真中央右の円形の土手の中で、その辺の土と水を合わせて泥にし、型にいれて天日で固めるだけ。それは地震が来たら壊れるでしょ、と思わざるを得ないのですが、この乾燥地帯で建材としてもっとも利用しやすいものであることは事実です。

 バムの市街は今でもところどころで地震の傷跡が垣間見れます。それでも新しく建築中の建物には鉄骨の筋交を入れているので、いくらかは地震に強い建物を建てているようです。

 このあたりは地震も多く、つい去年の年末にもケルマーン北部で地震がありました。絨毯産地のラーヴァルの絨毯屋からも割れた天井の画像が送られてきたりして、とても心配したものです。正直なところイランは治安よりも地震のほうが怖い国です。2017年だけでも死者が出るような地震が3回もイランでありました。そのうちイラク国境のケルマーンシャー州の地震では400人もの方が亡くなっています。

 バム遺跡は内城部分は今も修復中。バーザール(市場)跡は一応修復は終わっているようでした。ですが居住区跡などはあまりに広大で、ほぼ土くれと化したままです。ただ地震の前の写真を見るとすでに崩れかけだったので、実際どの程度まで修復する予定なのかは疑問です。街の人にあとどの位で修理が完成するの?と聞くと、最低でも10年はかかるだろうね、とのことでした。

 10年後にまた訪れて、その時にはお城のてっぺんまで登ることが出来たらいいなと思っています。

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