海外旅行の楽しみのひとつはその国ならではの料理であろうと思います。イランにももちろんイラン人たちの誇る伝統料理があります。このイラン料理、味は悪くないですが、流行りの「インスタ映え」させるのが非常に難しいのです。
上の写真はゴルメサブズィー。伝統的なイランのシチュー料理です。肉と香草を煮込んだもので、日本人の口にもとてもあいます。が、いかんせんイランの手の込んだ料理は、この通り原型をとどめないほどに煮込むものが多くて色彩感が無い・・・。
フェセンジャーン。鶏肉、クルミ、ザクロジュースの煮込み。写真も悪いのですが正直まったくおいしそうに見えません。味も甘ったるくて私は好きではないのですが、手のとても込んだ料理です。
キャレパチェ。羊の頭部(キャレ)や足先(パーチェ)を煮たもの。日本でいったらホルモン煮込み的なものでしょうか。イラン人にとってもB級グルメ扱いです。写真の肉は頬肉なので抵抗なくイケました。下の写真は羊の頭部から肉を店員さんがこそげ落としている所。羊の足先は豚足が平気な方ならいけると思います。コラーゲンたっぷりで最後は爪をちゅーちゅーです。部位を指定して注文するので、本当は目玉と脳みそにチャレンジしたかったのですが(幸運にも)品切れでした。
スープは羊ダシとニンニクが効いておいしいです。びっくりしたのが、このキャレパチェは「朝食の料理」であるということ。「脂っこいので寝る前に食べると太るんだよ」「これから体を動かす人の(肉体労働者の)食べ物」だそうです。
イランピザ。これはピーザー・アムリカーイー(アメリカ風ピザ)。牛ひき肉とマッシュルームがたっぷりでおいしい。おいしいのですが、イタリアンピザとは全く違う、あくまでもピザ風の食べ物です。そしてイランピザはケチャップをかけて食べます。ケチャップをかけて・・・。
イラン人がイラン料理と聞いて真っ先に思い浮かべるのがキャバーブです。これはちょっと豪華なスルタン(王様)風キャバーブで牛の一枚肉と鳥肉のミックス。
レストランのキャバーブにはこの通りナン(パン)と山盛りライスがつきます。炭水化物マシマシってやつですね。しかもライスには朝食についてくるようなバターが必ず添付されていて、これを溶かして混ぜます。体重の増加に寄与することは間違いありません。事実イランの男性たち、高校生~大学生くらいの若い子はスラっとして本当にイケメン揃いなのですが、30代から上の方々はほぼ全員が立派なお腹をしてらっしゃいます。
こちらは庶民的な串焼き屋、といった趣のお店のキャバーブ。日本の焼き鳥屋よろしく外に炭火焼きの匂いが漂ってきてたまりません。左から羊ひき肉(とてもメジャーでイランでキャバーブといえばまずはこれ)、羊ハツ、手羽先です。内臓系はちゃんとしたレストランには置いてないです。手羽先もまたしかり。でもおいしい。生ビールがあれば最高・・・なのですがそこはいつものイスタク(ノンアルビール)で我慢。
どうやらイラン人は鶏皮が苦手な人が多いようです。鶏肉のキャバーブはどこのレストランにもあるメジャー料理ですが、皮が付いていないのです。先ほどご紹介したフェセンジャーンも皮はきれいに取り除かれています。鶏肉は皮がおいしい派の私としては、とても残念なのです。
といった感じで他にもアーブグーシュト(壺焼きシチュー)やらホレシュテ・バーデンジャーン(ナスと鶏肉の油煮込み)やらおいしい物もあるのですけれど、いずれも写真写りのパッとしない食べ物&盛り付けが多くて、あまりスマホを取り出して写真を撮りたい気になりません。一応、キャバーブには焼きトマトや香草がつくので盛り付けによってはインスタにアップするに足る画像が撮れると思います。しかし続くんですよねキャバーブ。
イランに滞在していて困るのが、イラン人が食にとても保守的な所。つまり、イラン料理以外のレストランがあんまり無いのです。さらに田舎に行ってしまうと、レストランにキャバーブしか置いていないことが多いので、毎日が各種キャバーブのローテーションになるわけです。一週間程度の旅行であれば「イランも思ったより料理悪くないね」で済むのですが、それを超えると結構キツい。
イランの友人に「あんたら週何回キャバーブ食べてるの?」と毒づいてしまったことがあったのですが、その答えが「いや、そんな多くないよ。週3~4回ってとこかな。」だそうで・・・。