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ホラーサーンのバルーチ絨毯の紹介(翻訳)



ホラーサーンバルーチの絨毯の紹介

※iran-carpet.comさんのブログ記事からの訳文です。

『ホラーサーンのバルーチ絨毯のすすめ』 

                     カーゼム=メフマーン 

                     ホラーサーンラザヴィー州の絨毯愛好家

 バルーチ、クルド、アラブ、トルコ、イラン、チャハールアイマーク、スィースターニーの7つの民族グループが、自然に、または政治上の特別な要因によって昔からホラーサーンラザヴィー州と南ホラーサーン州内の様々な地域に居住している。これらのグループはそれぞれが共通した特徴を持つ絨毯の織り手であり、世界の絨毯市場では「ホラーサーンバルーチ」の名で知られている。この様々な民族グループによって織られるホラーサーンバルーチの絨毯のデザイン、絵柄、使われるモチーフや色の組み合わせは、いずれもよく似ている。

 イランに住む最も純粋で傑出した遊牧民であるバルーチ族は、現在でも遊牧畜産を営む部族であり、また古い遊牧民の暮らしが残っているようだ。このバルーチ族によって織られる絨毯の名声はその大部分が以下に起因する。バルーチ族が育てる羊は、バルーチ種と呼ばれる優れた品種のひとつであり、その羊毛は粗め~中程度の織の絨毯をつくるのに非常に適した繊維を持つ。また、山羊毛やラクダ毛の利用も、彼らバルーチの間では広く行われている。彼らが定住した地域は、ホラーサーンラザヴィー州、南ホラーサーン州の中でも絨毯織りの盛んな地域と見なすことができる。毎年総計5,000トンのバルーチ種のウール、20トンのシルクの繭、相当量の自然染料の収穫があり、女性についての特殊な地域性と文化、そして最も重要である部族の多様性によって、この地域の絨毯づくりにおいて、最も潜在的なポテンシャルの高い地域であると見なされている。

 バルーチの絨毯は多くの遊牧民の絨毯と同様に水平式(地面と並行に置くタイプ)の織機でつくられる。一般的にそのノットはペルシア結びであり、緯糸は1本である。以前は経糸と緯糸は黒い色の羊毛であったが、現在ではそのかわりに綿糸も利用されている。昔ながらの経糸と緯糸が羊毛のタイプは、絨毯の上下の縁に織られているキリム部分の糸の色の変化と、そのデザインが美しいため、装飾的価値がとても高い。


キリム部分

(キリム部分の丁寧な装飾が美しい)

 バルーチの絨毯の特徴のひとつはその深い色あいである。部分的には無染色、あるいはクリーム色、キャメルブラウンなどの明るい色が使われるが、フィールドカラーには濃紺、絵柄には濃い赤、黒、白が多く利用されている。

 バルーチの人々により使用される良質で美しい色は以下の通りである。藍から採る孔雀色、茜による様々な赤や朱、キャメルブラウンや茶色のために使われるクルミの皮。クルミの皮は柳の葉とともに黄色にも使う。同様に藍と柳の葉を用いて緑も手に入る。ヘナによるオレンジと茶色。また、象牙色には白ミョウバンが利用されている。

 黒色には一般的に黒い羊毛が使われる。それを簡単にするには塩化鉄の一種で、「マク」と名付けられたものも使われているが、時には「マク」の代わりに藍も使用されていた。その後、アニリン染料がこれらの羊毛に使われるようになり、濃紺色は黒色へと変わり、絨毯の品質は悪化した。

 ラクダ毛で織られるバルーチ絨毯も存在するが、この「ジャバーリー」と呼ばれる絨毯は嫁入り道具であり、一般に売買されるものではない。

ホラーサーンバルーチの絨毯・道具・材料・織りの特徴:

 使用される織機は水平式である。パイルカット用のナイフと、とても簡単なつくりのシャーネ(注:緯糸をパイルに打ち付ける櫛状の道具、当サイトのホームのトップ画像に写っている道具です)が用いられている。

 使用される材料は羊毛と山羊毛とラクダ毛である。パイル糸にはZスピン(反時計回りに捩った糸)、経糸と緯糸にはSスピン(時計回りに捩った糸)が使われている。経糸と緯糸は本来は羊毛である。

 バルーチ絨毯の平均的なノット密度は、10cmあたり1,600個(平米16万ノット)であり、3,000個(平米30万ノット)のものも見られる。つまり25~30ラッジと同等の1,600個、25~30ラッジ相当の3,000個であり、60ラッジのものまでまれに存在する。

 サイズの点からは、ポシュティーの90×70cm、ザロチャーラク・ザロニームからドザルーの200×110cmまでのサイズで作られており、6㎡もまれに織られている。

バルーチ族:

 絨毯づくりに従事する、本来の古いバルーチの支族と考えられるグループと、彼らが主に暮らす地域は次の通りである。

バハルーリー族~ハーフ、ジャンギャル(トルバテ・ヘイダリーイェ郡)

バーイェズィーディー族~メヘヴァーラト(トルバテ・ヘイダリーイェ郡)

コラーハ・デラーズ族~ガーエン、トルバテヘイダリーイェ、カーシュマル

ジャーン・ミールザーイー族~ザーヴェ、アリーヤク(トルバテ・ヘイダリーイェ郡)

ラヒーム・ハーニー族~トルバテ・ヘイダリーイェ、セラフス郡(マシュハド東)

ブラーフーイー族~同上

クールヒーリー(サラール・ハーニー)族~トルバテ・ヘイダリーイェ、ジャンギャル

ハサンザーイー族~サブゼヴァール郡、ネイシャーブール郡(いずれもマシュハド西)

ジャーンベイギー族(新しいバルーチ)~ラシュトハール郡(トルバテ・ヘイダリーイェ南東)、トルバテ・ヘイダリーイェ郡

 上に述べた名の通り、絨毯づくりに従事するバルーチ族のグループは大抵、トルバテ・ヘイダリーイェ周辺に定住していると推定できる。

(※訳注:トルバテ・ヘイダリーイェはマシュハドの南50kmにある街、人口140,000、周囲の郡部もあわせると224,000人程度)


テイムーリー族:

 ホラーサーンとアフガニスタンのテイムーリー族は、ティムール朝の皇帝ティムールの子孫で、トルコ系であるとされている。サマルカンドの支配者であったティムールは、1381年、彼が34歳の時、イランへ侵攻を開始、征服した。初めにヘラートとそれからトゥース(マシュハド北)、カラート(マシュハド北)、エスファラーイェン(ボジュヌールド南)、その後カーシュマルを平定し、その後徐々に、イランの他の都市を手に入れていった。

 当初20,000戸であったイランとアフガニスタンに住むテイムーリー族は、このティムールの名で有名となった。

 ホラーサーンに暮らすテイムーリー族のグループは以下の通りである。

キャラーリー、ヤァグーブ・ハーニー、ボルボル、カリーム・ダーディー、バハーダーリー・ダハハーネ、シャーヒーハーネ、アリー・ミールザーイー、サレノウズィー、ファーザリー、シェイヒー、サラーリー、セルジューキー、サンゲチューリー、アリー・ハージェ、ミールザー・ドゥースティー、ルーティー

 上記の名で呼ばれるグループが今も、マシュハドの郡部、テルバテ・ジャーム、ジャンナトアーバード、バーハズル、ハーフ、サンガーン、そしてテヘランにも住んでいる。

 例えば、ハーフの近く、サンガーン村(マシュハドの南南東100km)に暮らすテイムーリー族の人口は約500人である。また、12,000人の人口のハーフ市に暮らす人々はタジク人、テイムーリー族、ハラジ族から成る。ハーフのテイムーリー族のグループは、ヤァグービー、ヤヒヤーイー、レスヴァーイー、ユースフィー、ジャラーリーである。

 その他のバルーチ絨毯の織り手の部族として、ロシアから移住したトルコ系部族、シャーセヴァン族、サーリーフ(サリーク)族のトルクメン人が挙げられる。

 また、アラブ系の部族として、ターヘリー、ヘジャーイー、チューブダーリー、アーレウィーの名を挙げることができる。彼らは遠い昔から、フェルドゥース、ビールジャンド、ネフバンダーンに住んでいる。

バルーチ絨毯のデザイン

1. メヘラービー

 メヘラービーは最も有名なホラーサーンバルーチの絨毯のひとつに数えられている。メヘラーブで知られるこのデザインは、つまりモスクで集団礼拝の際イマームが祈る場所のデザインである。ホラーサーンバルーチの大部分の部族に、このデザインは広まっているが、最も良質なメヘラービーの絨毯は、ハーフ産であることは確かである。ホラーサーンバルーチの祈祷用絨毯は世界中でよく知られている。


メヘラービー バルーチ

(メヘラービーデザイン。凸型のフィールド内は木のデザインである)

2. ガービー(額縁・パネルデザイン)

 バルーチのガービーデザインは、独特な色調を持つことに加えて、ひし形、六角形、八角形の形状のものもある。このガーブ(額縁・パネル)は一部は横並びだが、大抵は斜めの対角線上に並べられている。ホラーサーンバルーチのガービーデザインには、1つから8つのガーブ(額縁・パネル)が、縦一列の中に配置されるものもある。もちろん、サイズによって数が考慮されたこのガーブ(額縁・パネル)は、それぞれ同じ形をしている。メヘラービーの次にこの種のデザインがよく見られる。


(八角形の“ガーブ”が3つならんでいる)

3. メダリオンタイプ

 バルーチのメダリオンのデザインは、ニワトリや鉤によって構成され、メダリオンの装飾は大抵、幾何学的な形状や、植物の柄が使用されている。ホラーサーンバルーチの絨毯では、メヘラーブ、ガービーに次いでこの種のデザインのものが多いようである。


(孔雀で構成されたメダリオンの一種)

4. ニワトリデザイン

 バルーチのニワトリのデザインは3つのグループに分けることができる。シンプルな1羽だけのデザイン、複数のニワトリや他の鳥たちのデザイン、ニワトリの頭部だけのデザインに分類されるが、頭部だけのデザインは少し異なるかもしれない。

 バルーチや東方の絨毯とイランの絨毯の関係について述べた