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執筆者の写真rugsrang

アリーサドルの洞窟とメヘラバーンの絨毯



アリーサドル

 ハマダーン滞在中、州の北西部のメヘラバーンと呼ばれる地域と洞窟観光に行きました。

 アリーサドルの洞窟はハマダーン州の一番の観光地です。全長で11kmにも及ぶ巨大な洞窟で、内部には透明な水を湛えています。

 この時は州の北西部の絨毯を織る村を周る予定で、洞窟には別段興味は無かったのですが、ハマダーンの絨毯屋にも是非行けと言われて地域も同じなので立ち寄ってみることにしました。

 着いてみると平日だというのに多くの車が止まっていて、大人気の観光地のようです。周りには多くのレストランや土産物屋、ホテルや遊園地まで併設されている一大レジャー施設です。

 受付でライフジャケットを渡されていざ入場。行列に並んでいよいよ地底湖探検のボート乗り場です。


 え。ボートって足漕ぎのペダルボートですか!

 画像の左が係の人。右はお客さん。動力は二人の足。


 しかも連結されています。足漕ぎでお客さん満載のボートを3艘も引っ張る仕組み。周りは皆カップルや家族連れ。私は男一人。こ、これは・・・。


 「はい、そこのミスターお願い。」

 ですよねー。

 白鳥ボートの比ではなく重く、漕ぎだして2分でしんどくなりました。

 「ミスター、どこの国の人?日本人か、すごいねー(何が?)。疲れてない?大丈夫?」などと気を使って話しかけてくれますが、日本男児がこんな事で弱音を吐くわけには参りません。平気な顔をつくりながらやせ我慢です。

 頭がつかえそうな狭い所や逆に開けた所もあり、洞窟はかなり広い。水はほんとうに澄んでいますが魚などの生き物は全くいないそうです。一旦別の船着き場で陸にあがり今度は徒歩で洞窟内を散策したあと、もう一度違うルートでボートで戻ります。この時はイラン人の青年が立候補してくれたので助かりました。


 所々、鍾乳石がライトアップされています。日本人の感覚だとケバく感じるような色が好きなようで、看板のネオンなども、日本だと夜のお店を想像するような色使いのものも多いです。


 地底探検を終えて、メヘラバーンの村々を巡ります。



 農村地帯なので村々は数多くありますが、その中でも絨毯の織られている所は限られます。また、絨毯を作っている村でも織っている家が数軒しかなかったりするので、直接仕入れるルートを作るのは無理でした。


 このメヘラバーン地区はコルデスターン州のビージャールと隣接しています。そのため、絨毯のデザインもビージャールの影響が強いです。ハマダーン州全体では、東側は隣接するサルークのデザイン、南部は独特な幾何学デザイン、西部はビージャールデザイン、とそれぞれの地域で織られる絨毯はかなり変化に富んでおり、ハマダーンの絨毯の面白い所です。

 ひとつ興味深いことがあったのですが、メヘラバーン地域のある村の家で見た絨毯が、見事なタブリーズ60ラッジのマーヒー柄でした。聞くとタブリーズの絨毯商から材料をデザインを渡されて(買って)タブリーズと同じ織り方で織っているそうです。タブリーズから距離にすると330kmもありますから、例えが適切かわかりませんが、日本で言ったら輪島塗を千葉で作っている位の距離が離れています。タブリーズのマーヒーはほぼ、タブリーズ北西のホイ市で作られていると聞いていたので、これほど広い範囲で織られているとは驚きでした。


 ハマダーン市に戻って少し時間があったので、ガンジナーメに行きました。この碑文、2500年も前のものですが普通に野ざらしです。左がアケメネス朝のダリウス王、右がその息子のクセルクセス王による物。楔型文字で掘られているので、この文字が読めない後の世代は、秘密の宝の在り処を書いた物だと考えたそうです。“ガンジナーメ”とはそのまま、「宝の手紙」という意味です。


 ガンジナーメには小さな滝があるのですが、イラン人たちのお目当ては碑文よりこっち。画像の通り本当に大したことのない滝なのに人で一杯。土産物屋も何軒もありますし、例によって敷物を広げてピクニックをする家族連れも多く、イラン人の滝好きは本当に不思議です。

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