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執筆者の写真rugsrang

ホラーサーンの村々で絨毯を買う



南ホラーサーン メイガーン

 前回、6~7月にイランに渡航した際、南ホラーサーン州を車をチャータして回って、絨毯を買い付けてきました。この地方を訪れるのも3度目になるので結構慣れてきました。


まずは城塞の村、フールグへ。


一年前に初めて訪れた時に、この村で絨毯を織っている小さな工房を見つけたのですが、その時は仕入れるすべが無かったので、今回改めて訪問してみました。


 村には6平米サイズを織る織機が2機。


フールグの絨毯

これがちょうど1年前に訪れた時の写真です。このおじさんと再会。お名前はハージュイーさん。私の事を覚えていました(東洋人なんてめったに来ないでしょうから当たり前か)。そしてまさにこの写真で織っていた6平米の絨毯が、出来上がって在庫になっていたので買い付け。サイトで販売中です。


マジド氏 車故障

 翌日、南ホラーサーン州の南部へと向かいます。道中でガス欠の記念写真。実はガソリンは入っていたのですが、CNGガスからの切り替え装置が故障してしまったためにガスのほうが切れて止まってしまいました。スタンドまでわずか500mの所でぎりぎりアウト。車はイランの国産車でSABAという車種です。日本でガスで動く車は、タクシーと一部トラックくらいですが、イランでは大抵の乗用車がCNGガスとガソリン併用の車です。

 その後、車で通りがかった親切なお兄さんがスタンドまで牽引してくれて事なきを得ました。

 手作りのパールチェ(綿の布地)織りと絨毯づくりの盛んな村、バラクへ到着。




 機織り機で丁寧に手作業で布を織っていきます。道具につかわれる木材がちょっと曲がった枝のままだったりして面白い。この地方では製材に向くような木は生えていないので、使われる木材も、乾燥地に生える灌木がほとんどです。


 素材は綿100%。とても柔らかい糸で、よい品質です。


ハマムタオル


ハマムタオル

 バラク村で織られたチェックの柄がかわいいハマムタオル(お風呂タオル)。とてもよく水を吸い取ります。使ってみての経験ですが、むしろ食器拭きに最適です。タオルといっても“けば”が無いので、グラスに繊維が残ったりせず吸収も良いので、すっと拭くときゅっと水気が無くなります。手ぬぐいよりも厚手な所もグッド。


 ここはメイガーンという名の村。


 昔はこの小さな村に30機もの織機があり、多くの家庭で絨毯が織られていたそうですが、現在は9基を残すばかり。手間がかかる割に価格が安く、売れ行きも良くないとなると、絨毯を織る家は減っていきます。


 エスマテビーデルさんの家で織られた3平米のメダリオン。サイトで販売中です。今、日本からこの村のことを思い出すと、遥か彼方のイラン、それも地方のすごく田舎の一家庭と、日本のお客様の間に入っているのが私だけ、というのは自分でもとても不思議な感じがします。


 メイガーン村のモスクと農業用水のため池


カナート(地下水路)からの水が湧き出ています。小魚の姿もみえました。


 ルーメという名の村。羊を追う少女の後ろ姿。


 外国人が絨毯を買いに来たと聞きつけて、大勢集まってきました。この後、怒られた子供が泣き出したりしててんやわんや。ルーメ村にて。

 絨毯を織っている家庭から仕入れる時は、価格交渉で値切った金額のうちから、いくらかを「これは奥さんに」とか「小さな子供のために」とか言ってお返しする慣わしになっています。たまに家の爺様が「年取った妻が」の次には「娘が嫁に」さらには「小さな孫が生まれたばかり」と次々おかわりを言い出したりして、「おいおい、そりゃないだろ、ダメダメ」となったりするのが面白い。

 こうして車をチャーターして時間をかけて村をまわって絨毯を仕入れるより、その手間を考えるとその地方の絨毯商から仕入れたほうが遥かに安上りです。実際には私も絨毯商から仕入れるほうが遥かに多いのですが、それでも産地まで行ったからには、どんな風景の中でどんな人々によってつくられた製品なのか、できるだけ自分の目で見たいし、お客様に紹介したいのです。またイランの絨毯商が実際にやっているであろう仕入れの仕事を自分自身で体験してみるというのも、経験値として役立っています。

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