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執筆者の写真rugsrang

ジョフト



ジョフト جفت  (joft)名詞:対;組,夫婦,偶数 形容詞:一対の;偶数の

【参照】現代ペルシア語辞典


 ペルシャ絨毯はジョフトで(二枚一組で)織られることがよくあります。完全な二枚組のほうが価値があり、その内の一枚だけ欲しくても断られるか、価格が高くなってしまいます。当店では同じデザインを二枚一緒にご購入されるお客様はまれですので、本当は一枚一枚異なった柄でラインナップしたいのですが、こういった事情で二枚同じものがサイトに並んでいます。逆にイラン人は二枚セットで買いたい人も多いそうです。

 「二枚まったく同じものがあるが機械織りなのか」というお問い合わせをいただいたことがありますが、そうではなく、同じ柄で何枚も続けて織るので同じデザインの絨毯が生まれるのです。織る人の習熟の点からも毎回柄を変えるより同じものを続けて織ったほうが早く仕上がるようになります。





 洗浄仕上げ前は、このように経糸がつながっています。あらかじめ複数枚分の長さの経糸を織り機にセットして下から絨毯を織っていきます。

 当店にはフリンジの長さが上下異なっている品もありますが、つながっている部分を切ったときに片側が短くなるためです。


 必ずしも2枚とは限りません。こちらは2×3mの6㎡サイズで90×60cmを12枚織ったもの。ケルマーン州にて。同じ柄・サイズで12枚はちょっと仕入れられなかったので断念しましたが、スイカとチャイをごちそうになってしまいました。


 上の写真と同じものの表面(仕上げ前で毛足が長いです)ですが、見ていただきたいのは下に敷かれている絨毯で、機械織りの6㎡サイズのジョフトになっています。イランでは広い部屋に絨毯を敷き詰めて暮らすのが伝統的で、椅子やソファーは壁際に設置し、食事は部屋の中央で絨毯の上にシートを敷いてその上で摂ります。巨大な12㎡の1枚より、6㎡の2枚組にしたほうが安いようです。


 こちらはナイン市の工房で織られた12㎡の絨毯です。これは横につながっているジョフトになっていて、繋いでいる部分にもパイルが結ばれています。切ってセルベッジを巻きなおし二枚にすることもできますが、そのまま敷く場合もあります。 


 こういった訳で「ペルシャ絨毯には同じものは一つとして無い」というのはあくまで言葉のあやで、もちろん人の手でつくったものですから、それぞれ完全に同じではありませんが、同デザイン・同サイズのものは複数あるのです。





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