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  • 執筆者の写真rugsrang

ゴンバデカーヴースとトルキャマンの絨毯づくり



ゴンバデカーヴース

 ゴレスターン州東部の街、ゴンバデカーヴースへ行きました。写真の塔がこの街にある世界遺産、ゴンバデカーブースです。この遺跡の名が由来となって、街の名前が付けられました。

 「カーヴース」と「カーブース」、正直日本人の私が聞いてもほぼ区別がつかないのですが、スペルが異なっていて、Kavus کاووس 表記が街の名、Qabus قابوس 表記が世界遺産の塔の名前。しかしこの州の人々は、街のことも塔のこともただ単に “ゴンバド” と言います。

 この塔は1,000年以上も前に建築されたもの。長い時を経てなお街の中心にすっくと立ち、その威容を保っています。


ゴンバデカーヴース内部

 “威容”ですが、“異様”でもあります。この通り中に入ると中身はからっぽ。中央に立って声を出すと反響音がものすごい。エコーを聞くために作られたのではないかと思ったくらいでした。

 WIKIによるとこの塔は王の墓であり、上からガラスの棺が吊り下げられていたと信じられている、とのことで、ちょっと悪趣味です。


ゴンバデカーブース側面

 塔の側面には建設した時の王、カーブース・ブン・ワシュムギールの名が刻まれています。

 ここ、ゴンバデカーヴースとその周辺の住民はほぼトルキャマンのヨムート族です。さらに東へ行った北ホラーサーン州にはテッケ族が多いとのこと。前回訪問したシルク両面織のドゥイドフ村もテッケ族でしたが、イランに住むトルキャマンの中ではヨムート族が多数派です。

 そしてこのゴンバデカーヴースの周辺地域がイランで織られるトルクメン絨毯の一番の産地。街の絨毯商の元には村々で織られた絨毯が集まります。


ゴンバデカーヴース絨毯


トルキャマン絨毯


トルキャマン絨毯

 こんな感じで20枚程度を仕入れてきました。ゴンバド産は、バンダレトルキャマンで売られるアッカラー産と比べて少し高いですが、その分品質も良いです。

 翌日、今度はゴンバデカーヴースの周辺の村々まで足を延ばし、絨毯を織っている所をこの目で見に行くことにしました。


イランの田植え

 朝、宿泊していた州都ゴルガーンのホテルを出発。

 6月後半でしたが、ここゴレスターン州では田植えが真っ盛りのシーズン。ご覧の通り手植えです。私の住む秋田も米どころなので、荒涼とした景色が多いイランの旅の中、こういった田んぼの広がる風景は目に優しくて和みます。

 イランのお米は長粒種で日本とはだいぶ違いますが、香りが良くイラン料理には良く合いおいしいです。イランでは国産米(イラン産米)は日本と同様、ブランド力があって高価です。


 日本の田舎のような景色から1時間ほど走ると、普通に散歩しているラクダを発見。やはりイランです。


ラクダ ゴルガーン州

 トルキャマンの住む地域は馬も多く飼育されています。


すいか

ゴルガーン州はスイカの名産地だそう。スイカの名産地って歌、ありましたっけ。


 ゴンバデカーヴースから西に20kmほどに位置する村、ゴウルポルジャ村に到着。この村は絨毯づくりやフェルトづくりが盛んだそう。「ゴウルポルジャ」はトルクメン語。何回聞いてもうまく発音できなくて爆笑されました。調べると「川岸から分離された」という意味のトルクメン語のようです。

 小さく女の子が映っていますが、写真はなかなか撮らせてくれません。トルキャマンの子供は美形でとてもかわいいです。

 ペルシャ系のイラン人たちは私の顔を見てトルキャマンに似ていると言いますが、日本人の私からすると似ていません。やはりモンゴロイドとロシア系の混血ぽい顔だちの人が多く、中には金髪で青い目の人もいます。


 村の家庭ではありとあらゆる家畜を飼育していました。このお宅でいただいた、ラクダ乳のドゥーグ(飲むヨーグルト)がクセが無くてとてもおいしかったです。撮った写真がピンボケでご紹介できずに残念です。


七面鳥はイランではちょっと珍しい。


子牛と子ヤギ。 餌箱の中にもう一匹子ヤギが。かわいいです。

 家の中に通される時には、「ヤーアッラー、ヤーアッラー(おおアッラーよ、アッラーよ)」と声と出しながら入ります。



 トルキャマンは伝統的に横置き式の織機で絨毯を織るので、写真のような12平米の大きな絨毯でも横置き式の織機で作ります。そのため部屋一面に経糸が張られます。縦置きの巻取り式ならスペースを取らないし、横置き式は腰がやられるので健康上もあまり好ましくは無いのですが、伝統のスタイルを変えることはしないようです。「腰痛くないですか?」と聞くと、「もう慣れちゃいましたよ」との返事。

 大きな絨毯は近所の家の女性たちが集まって織ります。彼女たちはこの家のオーナーに雇われているわけではなく、絨毯が売れた代金の内、一部を織機の使用料として家のオーナーが取り、残りを織り手で等分にするというシステムでやっているそうです。


 こちらは別の家に置かれた幅1.5メートルサイズの織機。奥様がひとりで織ります。カシュガイデザインの絨毯を織っていました。トルキャマンの絨毯はシルクの両面織を除けば、すべて横置き式の織機で織られています。

 当店で人気のトルキャマン絨毯、まもなく入荷の予定です。1平米サイズから6平米サイズまで、リーズナブルなお値段でご提供できると思いますので、どうぞご期待ください。

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